九州電力・北海道電力 節電アグリゲーターが決定

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九州電力および北海道電力は、今夏の電力の安定供給確保に向けた対策として、ビルや工場などにエネルギー管理支援サービスを手がける「節電アグリゲーター事業者」を通じて、需給ひっ迫が予想される場合に、高圧の顧客の電力使用量抑制(負荷調整)を実施する取組みを実施する。実施期間は7月~9月の3カ月。

 

九州電力は本事業を行う節電アグリゲーター事業者を募集していたが、1日、18社と協議が整い、契約を締結したと発表した。契約締結事業者は、東芝、富士電機、三菱電機、エナリスなど。

 

アグリゲーター事業者は節電を成果とする事業者だ
このうち、エナリス(東京都千代田区)は1日、北海道電力および九州電力と今夏の電力需要抑制(負荷調整)に関する委託契約を締結したと発表した。

 

同社では、電力の需給ひっ迫が予想される場合に、両社が発令する節電要請に応じ、各電力会社管内の同社の高圧契約(契約電力500kW未満)の顧客を対象に、負荷調整の依頼と電力需要抑制状況の監視を実施するもの。負荷調整の実績については、同社から各電力会社に報告を行い、実績に応じて顧客に報酬が支払われる。こうした取り組みは、ネガワット取引と呼ばれる。

 

ネガワット取引とは、電気事業者や節電アグリゲーター事業者(複数の需要家を束ねて、デマンドレスポンス(DR)による需要削減量を電気事業者と取引する事業者)と需要家の間の契約に基づき、電力不足が想定される場合に、電気事業者等からの要請に応じて行った電力の需要削減の量や容量を取引する取組みをいう。

 

デマンドレスポンスとネガワット取引について
東日本大震災を契機に、電力供給状況に応じて需要側が消費パターンを変化させる「デマンドレスポンス」の重要性が認識されるようになった。DRによって効果的にピークカットを行うことで需給ひっ迫の解消は、安定供給を実現することにつながると期待されている。

 

DRの次の段階として、ネガワット取引の活用に期待が高まっている。経済産業省は、スマートな節電を行える環境整備を目的に、本年3月「ネガワット取引に関するガイドライン」を策定している。

 

エナリスは、政府で議論されている電力システム改革を見据え、デマンドレスポンス事業およびネガワット取引市場創設に向けて積極的に取り組んでいる。

 

九州電力の供給は今夏、ギリギリの見込み
九州電力の今夏の電力需給は、定着節電として昨夏に取り組まれた節電の約9割(151万kW減、2010年度夏季最大電力比8.6%減)を織り込んだ最大電力需要に対して、他電力各社からの応援融通を受電することで、電力の安定供給に最低限必要な予備力(予備率3%)を何とか確保できる見通し。

 

しかし、電力需要の急増や火力発電所等の電力供給設備のトラブルなどの需給変動リスクが顕在化した場合には、より厳しい需給状況になることが予想されている。このため、電力の安定供給確保に向けた対策として、電力需要抑制(負荷調整)の委託業務を実施する節電アグリゲーター事業者を募集していた。

 

北海道電力も今夏の節電協力を要請
北海道電力は、今夏は、最も厳しい需給状況となる8月においても、想定される最大電力に対して供給予備力41万kW(供給予備率8.7%)と、電力の安定供給に最低限必要な供給予備率3%は確保できる見通し。

 

しかし、この電力需給見通しには、これまでと同様、顧客による無理のない範囲での節電(36万kW減、2010年度最大電力比7.1%減)を見込んでいる。

 

そのため、ホームページ等で日々の需給状況をお知らせしている「でんき予報」を充実化し、7月1日(水)から9月30日(水)までの平日9時から20時(8月13日(木)・8月14日(金)を除く)に、節電の協力を求めている。