太陽光発電の長期利用促す 保守管理など義務づけへ

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経済産業省は太陽光発電設備の長期利用を促す仕組みをつくる。太陽光発電を手がける企業に設備の保守管理を義務づけたり、買い取り期間後に電気を売りやすくしたりする仕組みを検討する。固定価格での買い取り期間が終わった後も発電を続けてもらうことでコストを下げ、国民負担の抑制につなげる狙いだ。

2012年に始まった買い取り制度は大手電力会社に10~20年、再生エネでつくった電気を固定価格で買い取るように義務づけた。買い取り期間中に建設費用などを回収できるため、期間後も発電を続ければ、発電コストが下がる。同省の試算では、14年の太陽光発電コストは1キロワット時当たり24.2~29.4円。関係者によると、期間終了後は十数円程度に下がる可能性がある。

経産省によると、太陽光設備は保守管理を続ければ、買い取り期間の終了後も10年以上の発電が可能。現在は保守管理が明確に義務づけられていないため、小型の太陽光設備などでは、保守管理や施工の不良などで数カ月間発電が停止したり、強風で太陽光パネルが散乱したりするケースがあるという。

経産省は長期利用に向け、事業者に定期的な保守管理を義務づけることを検討する。自治体にも呼びかけ、保守管理業者らでつくる協議会を全国各地に設置する方向だ。買い取り期間の終了後も電力会社の送電線網への接続をそのまま維持し、事業者が電気を売りやすい環境を整える。

このほか自家発電用設備に転用しやすくなるように、円滑に手続きできる仕組みもつくる。発電しない場合でも事業者が勝手に設備を廃棄しないように、適切な廃棄に向けたルールづくりなども検討する方向だ。

再生エネを巡っては、導入の拡大に伴う国民負担の増加が懸念されている。15年度の買い取り費用の総額は1兆8千億円に上り、12年度の6倍に増える見込みだ。経産省は15年後の30年度に約4兆円に達する可能性があるとみている。

太陽光設備は短時間で建設できるため、制度の開始直後から導入が急増した。現在は再生エネ全体の導入量の9割を占めており、経産省は太陽光の急拡大に歯止めをかける方針だ。ただ期間終了後も長期利用できれば、発電コストの低下につながるため、既に発電している設備について長期利用を促す。

32年以降に1千キロワット以上の大規模太陽光(メガソーラー)で買い取り期間を終える設備が出てくる。経産省は総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の専門委員会などで買い取り期間終了後の設備利用について議論を進める。