三菱化学(東京都千代田区)は、有機薄膜太陽電池を用いた「シースルー発電フィルム」を開発・実用化し、市場開拓を開始すると発表した。
この「シースルー発電フィルム」は、透明(シースルー)、軽量、フレキシブルという特徴を有しており、窓への設置が可能となる。窓用フィルム分野については、この分野で約50年の実績を持つ、米スリーエムの日本法人であるスリーエム ジャパンと製品開発および市場開拓を協力して進めていく。また、その他の従来の太陽電池が取付けられなかった様々な場所への活用が期待される。
同社の有機薄膜太陽電池は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業「有機系太陽電池実用化先導技術開発」に採択され、これまで窓や建物外装などへの使用について実証実験を進めてきた。
例えば、同社はスリーエムジャパンと協力して、仙台国際センターの渡り廊下の窓へ、窓用フィルムとして設置し実証実験を行っている。
近年、建物の省エネや災害時における機能維持に関する要求が高まっており、快適性を損なわずに消費エネルギー量を削減し、その上で必要なエネルギーを再生可能エネルギー等で賄うことで年間の消費エネルギーを限りなくゼロにする「ZEB」の実現へ向けた取り組みが加速している。
太陽光発電については、パネルの設置場所が限られる都市部においては、より多くの発電量を確保するために、建物の屋根や屋上面に加え、窓や壁面などを有効活用することが必須となる。
しかし、窓、壁面、トップライト(採光や通風のため屋根に設置される窓)部へ設置するためには、従来の無機系太陽電池では、透明性(シースルー性)、色、重量などの課題があり、対応が困難だった。
同社は今後、市場の状況を見ながら顧客の要望に応えるべく、太陽電池のエネルギー変換効率、耐久性をさらに向上させ、シースルー発電フィルムの市場拡大を図っていく考えだ。