経済産業省は29日、4月からの電力小売りの全面自由化に向け、電力を販売する「小売電気事業者」が一般家庭などに営業を行う際のルールをまとめた「電力の小売営業に関する指針」を制定したと発表した。
「需要家への適切な情報提供」では、望ましい行為として、一般家庭を始め低圧需要家向けの「標準メニュー」や平均的な月額料金例の公表、ウェブサイトなどでの原子力や再生可能エネルギーなどの電源構成の情報の開示などを求めている。
一方、料金請求の根拠を示さないことや、「当社の電気は停電しにくい」など、需要家の誤解を招く情報提供は問題行為となる。
電力小売りの全面自由化後は、電気と他の商品・サービスのセット販売を行う事業者など、多様なサービスを提供する事業者が現れることが想定される。電気と他の商品・サービスのセット販売を行う事業者は、電気料金の額の算出方法については明示する必要があるが、セット割引などの電気料金への配分金額について明示する必要はないとした。
価格比較サイトなどにおける小売電気事業者以外の者による情報提供で、虚偽または需要家の誤解を招くなど問題になり得るケースを把握した小売電気事業者は、速やかに情報の訂正を働きかけを行うよう求めている。
また、小売電気事業者が国の固定価格買取制度(FIT)を活用して発電した「FIT電気」を販売する場合は、「FIT電気」であることの説明、電源構成に占める「FIT電気」の割合、FITの説明、が3要件となる。「グリーン電力」「クリーンな電力」「きれいな電力」などの用語を用いることは、誤解を招く行為として禁じる。
地産地消を訴求した営業行為を行う場合は、「発電所の立地場所および電気の供給地域」を説明することを最低限必要とし、十分な説明を求めている。
「契約内容の適正化」では、不当に高額の違約金などを設定するなど、解除を著しく制約する内容の契約条項を設けることは問題行為として禁じている。
また、小売電気事業のライセンスを有しない者が、小売供給契約の締結の「媒介」、「取次ぎ」または「代理」を行うことは、電気事業法上認められる。このケースでのぞれぞれの営業活動のあり方などについても明記している。媒介・取次・代理業者がテレビCM、WEB広告、チラシや供給条件の説明などにおいて、「自社の電気を供給している」旨の表示などを行う場合には、需要家の誤解や混乱を招くため、問題となる。また小売電気事業者が適切に指導・監督をしない行為も問題となる。