経済産業省は太陽光発電でつくった電気をためる家庭用蓄電池の購入者向けに、新たな補助金の創設を検討する。品質基準を満たしていれば価格の低い製品ほど補助額を増やす仕組みとし、メーカーに価格の引き下げを競わせる。2017年度に導入し、高価格が妨げとなっている家庭用蓄電池の普及を促す。
蓄電池はパナソニックやNEC、京セラなどが手がける。一般的な蓄電容量7キロワット時ほどの製品で150万円程度と高額のため普及が遅れている。国内の設置は数万世帯にとどまっているとみられる。経産省は20年に1台70万円程度と半額以下に引き下げたい考えだ。
現在は製品価格にかかわらず1キロワット時あたり5万円の補助金を出しているのを、17年度から価格が安いほど手厚くするしくみに切り替える。
低価格化に向けたメーカーの研究開発を後押しし、販売台数の増加で価格がさらに下がる好循環をめざす。安全性や耐用年数などの品質基準を満たした製品だけを補助金の対象にし、劣悪な製品は支援しない。
家庭用蓄電池が普及すれば、太陽光発電の電気を蓄電池にためて必要なときに使えるようになり、電力会社から買う電気を減らせる。電気代の節約分が蓄電池の購入費を上回れば採算が合う。経産省は蓄電池が1台70万円程度になれば、購入から10年以内に元が取れるとみている。
政府が導入した太陽光発電の電気を電力会社に高い値段で10年間買い取らせる制度は09年に始まり、19年から期間が終わる家庭が出てくる。終了後は余った電気を安い値段でしか電力会社に売れなくなる。維持費用のかかるパネルを処分する人が急増する懸念があり、経産省は売電しなくても蓄電池を使って採算が合うようにする。
2016/5/12 日経新聞