米アップル、ついに全世界の自社施設の電力100%再エネ化を達成

米アップル(米・カリフォルニア州)は4月10日、世界各地にある同社の施設で使用する電力を、100%再生可能エネルギーで調達したと発表した。これらの施設には、米国、英国、中国、そしてインドを含む世界43カ国にある直営店、オフィス、データセンター、そして共用施設が含まれる。

アップルのCEO(最高経営責任者)ティム・クック氏は、「何年にもわたり努力を重ね、ようやくこの意義深い数字に到達することができたことを誇りに思う」と述べた。

同社は、さらに9社の製造パートナーがアップル向けの生産を100%再生可能エネルギーを使って生産することを約束したことも発表した。

それらは中国上海と崑山の2つの工場でiPhoneを含む複数の製品の組み立てを行うPegatron、製品に使われている磁石・磁気部品のサプライヤーのQuadrant、日本でプリント基板用のソルダーマスクを製造する太陽インキ製造(埼玉県比企郡嵐山町)などだ。これにより再生可能エネルギーでの生産を約束した同社のサプライヤーの数は全部で23社となった。

世界で計626MWの再エネプロジェクトを展開
2014年以降、アップルのすべてのデータセンターは100%再生可能エネルギーで電力を賄っている。また2011年以降、アップルのすべての再生可能エネルギープロジェクトは全世界の施設から排出される温室効果ガスCO2e(CO2換算数値)の量を54%削減し、およそ210万メートルトン(=トン)のCO2eが大気圏に排出されるのを防いだと試算している。

アップルは現在、世界各地で25の再生可能エネルギープロジェクトを持っており、発電容量は計626MWに上る。2017年には286MWの太陽光発電が稼働を開始し、これは1年間の発電容量としては過去最高となった。さらに15のプロジェクトが建設中で、完成すると1.4GWを超える再生可能エネルギー発電を11カ国で展開することになる。

また、同社は公益事業体と協力して地域向けの新しい再生可能エネルギープロジェクトを作成・開発している。これらのプロジェクトは、太陽光発電パネルや集合型風力発電所、さらにはバイオガス燃料電池、マイクロ水力発電、エネルギー貯蔵技術といった新しい技術を含む。

例えば、クパティーノにあるAppleの新しい本社「Apple Park」は、北米最大のLEED(米国グリーンビルディング協会の建物と敷地利用についての環境性能評価システム)プラチナ認証取得オフィスビルとなった。17MWのオンサイト屋上太陽光発電パネル設備や4MWのバイオガス燃料電池を含む複数のエネルギー源から100%再生可能エネルギーで電力を賄い、電池貯蔵を持つマイクログリッドで制御されている。また、人が少ない期間などは余ったクリーンエネルギーは公共のグリッドに送られる。

中国では、製造業の上流工程からの排出問題に対処するため、6つの省で485MWを超える風力と太陽光プロジェクトが開発された。現在、デンマークで建設中の2つの新しいデータセンターでは、共に1日目から100%再生可能エネルギーで稼働するという。

また、日本では、地元の太陽光発電会社、第二電力(大阪府大阪市)とパートナーシップを組み、300基以上の屋上太陽光発電システムを設置する計画だ。この発電所の年間発電量は18,000MWhを想定しており、これは一般家庭約3,000戸以上の消費電力に相当する。

再エネソリューションを紹介するウエブサイトも運営
前述のように、アップルは、新規サプライヤー9社を含むサプライヤー23社が100%再生可能エネルギーで生産することを約束したと発表した。これらサプライヤープロジェクトからのクリーンエネルギーを合わせると、2017年には150万メートルトン以上の温室効果ガスの排出を防いだことになるという。

また、85社以上のサプライヤーがアップルのクリーンエネルギーポータルに登録した。これは世界各地のサプライヤーがそれぞれの地域で商業的に実現可能な再生可能エネルギーソリューションを探すのをアップルが手伝うためのオンラインプラットフォームだ。

環境ビジネスオンライン