日本の温室効果ガス削減目標、「2030年度46%削減」に引き上げ

リ協定に基づき国連気候変動枠組条約事務局へ再提出する温室効果ガス削減目標について、日本は2020年3月、2015年に示した「2030年度に2013年度比26%減」を引き上げることなく国連へ提出していた。同時に、次回のパリ協定上の5年ごとの提出期限を待つことなく、削減目標の見直しの検討を実施することを盛り込んでいた。

政府は今後、目標の達成に向けた施策を具体化すべく検討を加速。経済と環境の好循環を生み出し、力強い成長を作り出していくため、再生可能エネルギーなどの脱炭素電源の最大限の活用や、企業に投資を促すための刺激策などにより、「2030年、そして2050年に向けた挑戦を絶え間なく続けていく」(菅首相)とした。

また、世界の脱炭素化は、一国だけでは決して達成できず国際社会が一致団結して取り組まなければならない課題だとして、菅首相は「日本が誇る省エネ・水素・CCSなどの技術を最大限活用し、世界の脱炭素移行を支援する。また、脆弱国が受けている気候変動による影響に対する適応のための、国際協力を推進する」と述べた。

米国主催による気候サミット「Leaders’ Summit on Climate」は、4月22日から23日の2日間、世界の40の国・地域の首脳を招待してオンラインで開催。主なテーマは、主要経済国による今後10年間の取組、途上国支援、クリーンエネルギーへの移行、イノベーション、地方自治体、自然に基づく解決策など。

日米をはじめとする国際協力について

菅首相は現地時間の4月16日、米ワシントンでバイデン大統領と日米首脳会談を行い、気候変動分野について、日米の協力を一層強化すること、日米で世界の脱炭素をリードしていくことを確認。脱炭素化とクリーンエネルギーに関する「日米気候パートナーシップ」の立ち上げを発表していた。

菅首相は今回の演説でも「世界の脱炭素化を力強く進めるべく、気候野心とパリ協定の実施、クリーンエネルギー技術とイノベーション、インド太平洋諸国をはじめ途上国の脱炭素社会への移行加速化の各分野で、日米で協力して取り組んでいく」と表明した。

同日、米国のケリー気候問題担当特使は日本の目標について、同氏のTwitterで「日本の気候問題に対する強いリーダーシップを象徴するものであり、他国にとって基準を高めるもの」だとして感謝の意を表した。

環境ビジネスオンライン2021年04月23日掲載