富士経済は2021年6月24日、再生可能エネルギー発電システムの国内市場に関する調査結果を発表した。それによると、同市場は2035年に再生可能エネルギー発電システム市場は1兆7651億円になるとの予測を発表した。2020年度の市場規模見込み1兆7986億円から微減となる予測だ。
太陽光発電システムは2014年度に導入ピークを迎え、以降は縮小が続く。2020年度は、2020年度は新型コロナウイルスの影響を受け、前年度比11.8%減の1兆7651億円の見込みで、再エネ全体の約75%を占める。2025年度までにFIT事業認定案件の導入はほぼなくなるが、以降は非FITやFIT(Feed in Premium)による導入が進む。しかし、導入コストの急速な下落により、2035年度には2020年度見込比6割弱まで市場規模が縮小すると予測した。
一方で今後大きな成長を見込んでいるのが、風力発電市場だ。FIT案件の稼働が本格化し、2020年度の市場規模は前年度比1.2%増の1781億円と予測。ただし今後は、大型の環境アセスメント手続きが終了した陸上風力案件の他、洋上風力の着工が2022年度から2023年度にかけて本格的に立ち上がるため、2025年度以降は洋上風力が市場を牽引していくと予想。2035年度の市場規模は、2020年度見込比4倍以上に拡大するとしている。
こうした背景から、太陽光発電システムの減少分を風力発電システムがカバーする形となり、2035年度の市場は2020年度見込比微減となる1兆7651億円と予想。また、太陽光発電システム以外の再エネ発電システムが市場の6割近くを占め、FIT開始以降、太陽光発電システムがけん引してきた再エネ市場の構造が大きく変容するとしている。
再生可能エネルギー発電システムの累計導入容量は、2020年度が8571万kWの見込み。2035年度は、2020年度見込み比2.2倍の1億9199万kWと予測している。
内訳を見ると、太陽光発電については2020年度までの累計導入容量は6570万kWが見込まれ、導入容量全体の76.7%を占める見込みとした。2035年度でも構成比は70%を超えるという予想だ。
一方、風力発電は2020年度が469万kWの見込み。開発に時間がかかるが大型風力や洋上風力の導入が本格化し、2035年度は同5.8倍の2741万kWにまで拡大すると予測する。
なお、水力発電システムと地熱発電システムは開発に時間がかかり、導入ペースが緩やかであるため、長期的に構成比は低下すると予想。バイオマス発電システムは認定済み案件の導入で構成比の上昇が予想されるが、2030年度以降は低下するとしている。
なお、再エネ発電量は2030年度に3000億kWhを突破し、2035年度には3795億kWhとなり、国内総発電量(約1兆kWh)の約40%を占めると予測。太陽光発電システムは導入コストの低下とリードタイムの短さなどから新規導入が継続し、2020年度の806億kWhから2035年度には1730億kWhまで増加し、長期的に再エネ発電量全体の45~50%の構成比を維持するとした。
風力発電システムは2025年度までは大型陸上風力がけん引するとみられるが、以降は洋上風力がけん引する形で発電量が増加し、2035年度には再エネ発電量全体の2割近くを占めると予想している。