風力と「潮力」を1台で兼ねる発電装置

三井海洋開発は、浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積み出し設備(FPSO)を主力製品とするなど、浮体構造物に強い。ただし、発電技術ではまだ実績がほとんどない。「今回実証実験を始める浮体式潮流・風力ハイブリッド発電は、これまで縮小モデルなどでの研究を続けてきており、実機がまだ1台しかない状態だ」(三井海洋開発)。

三井海洋開発の発電プラットフォーム「[skwíd]」は、同社が一から設計した。水面に垂直に浮かび、海底とは複数のケーブルで係留する形だ。海底に固定されてはいない。水面上の高さは約50m、水面下の深さは約20mある。

風力と「潮力」を1台で兼ねる発電装置
浮体式潮流・風力ハイブリッド発電プラットフォーム [skwid]。出典:三井海洋開発
[skwíd]には水面上にダリウス風車が、水面下にはサポニウス水車が付いており、これらの運動を電力に変える。図3にある海面上の白い骨組みのようなものがダリウス風車、黄色い浮体の下部にある灰色の円筒がサポニウス水車だ。「風の強さなどさまざまな条件によって値が変わるものの平均して1基で、一般家庭約150戸の電力をまかなうことができると試算している」(三井海洋開発)。これは500kW程度の出力に相当するだろう。