日本卸電力取引所(略称JEPX)は電力会社や新電力などで構成する日本で唯一の電力取引市場である。通常は会員の電気事業者だけが取引できるが、電力需要が増大する夏の一定期間に限定して一般企業にも開放することが決まった。
JEPXの中に「夏季広域融通入札市場」と呼ぶ新しい市場を開設して、電力会社や新電力が需要のピークに合わせて必要な量の電力を事前に調達できるようにする。この新市場で電力を売買できる期間は6月3日(月)~9月30日(月)の約3か月間に限る。
取引の流れは次のようになる。電力を買いたい事業者は調達の条件をJEPXに伝えて、JEPXのウェブサイトに情報を公開する。その条件を見て電力を売りたい企業は入札の意向をJEPXに連絡する。JEPXは入札者の情報をまとめて買い手に提示し、買い手は条件の良いものから選んでいく。その後に売り手と買い手が売買契約を結んで取引を実施する。
買い手からの調達情報には、時間帯やエリア、必要量などを記載する。上限価格を記載するかどうかは自由だ。実際に購入するかどうかが未定の場合でも、電力を購入する権利を確保することができる。確保するだけでも料金は発生する。