住民の寄付金などで立ち上げた太陽光発電所の収益を、地域の農林水産業振興などに役立てる全国初のユニークな試みが県内でスタートする。山間地などで中規模のソーラー事業を行い、必要経費を除いた収益を地元に還元するという、その名も「コミュニティ・ハッピー・ソーラー」。寄付してくれた人には、お礼として地元の特産品も贈る予定で、寄付者、生産者の双方がハッピーになる仕掛けだ。第1弾として10月にも佐那河内村で発電所の建設工事が始まる予定のほか、鳴門市や勝浦町などでも準備が進んでいる。
企画したのは、県内で再生可能エネルギーの普及・促進に取り組む一般社団法人「徳島地域エネルギー」(徳島市)。「地域でお金が回る呼び水にしたい」と、地域貢献型のソーラー事業を考案した。
計画によると、発電所は地域住民らが参加して作る運営会社が、寄付金や金融機関からの融資などを基に設置。発電事業の専門家がいる同エネルギーが委託を受けて管理する。
稼働後に出た売電益は、発電実績に応じて農林水産業の支援へ。具体的な支援内容は、地元自治体や農業団体などで作る運営協議会で決める。
佐那河内村では、運営会社「佐那河内みつばちソーラー発電所」(藤原俊信社長)が村有地で、出力120キロワットの発電事業を来年1月から始める。現在、立ち上げ資金の一部に充てる寄付金(1口1万円、9月末まで)を募っており、寄付者には稼働後に計5回、スダチなどの村の特産品を贈る予定という。
このほか、鳴門市や勝浦、牟岐、那賀の各町でも事業開始に向けた準備を進めている。同エネルギーの担当者は「山間部やへき地では過疎化が進み、住民が地域に残りたくても残れなくなっている。彼らが農業や漁業を続けられるよう、少しでも応援したい」と話している。