神戸市は28日、大阪ガス子会社の「エナジーバンクジャパン(EBJ)」(大阪市)と共同で、太陽光発電と下水汚泥由来のバイオガス発電を組み合わせた発電事業に着手すると発表した。垂水処理場(垂水区)の施設屋上に太陽光パネルを設置するとともに、敷地内でバイオガスを燃やして発電する装置を設ける。発電分は関西電力に売電する方針で、3月から事業をスタートさせる。太陽光とバイオガスのダブル発電の事業化は全国初という。
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同処理場の水処理施設の屋上(約2ヘクタール)を約8千枚の太陽光パネルで覆い、敷地内にバイオガスによる小型発電装置を14台設ける。
国による再生可能エネルギーの固定価格買取制度を活用した20年間の事業で、初期投資の約10億円は全額EBJが負担。市が太陽光パネルの設置場所やバイオガスを提供し、EBJは発電設備を設置・運営し、関西電力に売電する。2つの発電手法を組み合わせることで、より安定的に電力を供給できるという。
市によると、ダブル発電の年間発電量は、太陽光が約200万キロワット時、バイオガスが250万キロワット時で、一般家庭約1300世帯分に相当する。売電収入は年間約1億7千万円を見込んでおり、うち2割程度に当たる約3500万円が市の収入になるという。
市は平成23年度から同処理場でバイオガス発電を導入、施設内の電力用として活用してきたが、売電は初めて。市によると、バイオガス発電が可能な市内4処理場で、同様の発電事業を行った場合、年間発電量は一般家庭約7900世帯分に相当するという。
この日会見した久元喜造市長は「下水処理場は大きなエネルギー供給源としての可能性がある。再整備や機能更新の時期に合わせて他の施設でもできるだけ早く取り組んでいきたい」と話した。