震災から3年目、「全国ご当地エネルギー協会」が誕生

3月11日、衆議院第一議員会館で「全国ご当地エネルギー協会(仮称)」の立ち上げが宣言された。新年度早々に正式に立ち上げ、北海道から九州まで約40の自然エネルギー事業者をつなぐ予定。電力の小売全面自由化を前に、地域発の自然エネルギー普及の加速を目指す。(オルタナ編集委員=瀬戸内千代)

立ち上げのきっかけは、認定NPO法人環境エネルギー政策研究所(ISEP)が主催した第3回コミュニティパワー国際会議で、2月2日に採択された「福島コミュニティパワー宣言」。その中で立ち上げを約束した「21世紀の電事連」が具体化した。

地域の中小の取り組みが協会組織でつながり、電力会社とのやりとりや資金調達などの経験を共有して政策提言につなげるなど、共通課題の早期解決を図っていく。

会場には、各地から代理を含め35人の発起人が集い、それぞれの決意を宣言した。

一般社団法人徳島地域エネルギーの豊岡和美理事は、「売電収益の全額を棚田再生や商工会議所などに寄付して、私たちはコーディネートをしてメンテナンスで収益を得ている。ほしいところに事業をつくことができる自然エネルギーは、非常に多くの可能性を持つ」と語った。

NPO法人九州バイオマスフォーラムの大津愛梨理事は、「電気も米も熱もつくれる農家になりたい。田園風景も大切な文化なので、どこにでもパネルや風車を置いていいわけではなくバランスが大切。そういったところまで踏み込める協会にしたい」と抱負を述べた。

ISEPの飯田哲也所長は、「今年は東日本大震災から3年目、地域独占電力体制が敷かれてから75年目の節目の年。固定価格買取制度が閣議決定されたのは3.11の午前中で、地震が何時間か早く起きたら成立していなかったかもしれない。そこで、勝手に、3.11を自然エネルギーの日にしませんか」と呼びかけ、会場から拍手がわいた。

経産省資源エネルギー庁は、2016年をめどに家庭向けの電力小売事業についても自由化する方針。「ご当地エネルギー」の量と質が充実すれば、約2年後には、個人が近場の自然エネルギーを自由に選択して購入できる可能性が出てきた。