三菱化学は、24日、大成建設と共に、世界で初めて、フレキシブルな有機薄膜太陽電池を用いた発電する建物外壁ユニットを開発し、大成建設が都市型ゼロエネルギービル(ZEB)の実現に向けて建設中の建物へ導入し、実証試験を開始すると発表した。
同社はこれまで、NEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成事業「有機系太陽電池実用化先導技術開発」に採択され有機薄膜太陽電池の実証実験を進めてきた。
今回、両社で開発した「有機薄膜太陽電池外壁ユニット」は、三菱化学がNEDOの助成事業で開発中の、薄くて軽く、色の自由度を持ち合わせ意匠性が高い有機薄膜太陽電池を使用し、建物外装に関する設計・施工において多くの実績とノウハウを有する大成建設の技術を採用。これにより、クリーンで持続可能なエネルギーを供給しつつ、建物の多様な階高やスパンへの適応、多様な色の選定が可能な意匠性、軽量性、将来の機器更新の容易性、等を併せ持つ本格的な発電する外壁ユニットとなった。
近年、建物の省エネや災害時における機能維持に関する要求が高まっており、快適性を損なわずに消費エネルギー量を削減し、その上で必要なエネルギーを再生可能エネルギー等で賄うことで年間の消費エネルギーを限りなくゼロにする「ZEB(Zero Energy Building)」の実現へ向けた取り組みが加速している。
太陽光発電は、その要素技術において日本が世界をリードする再生可能エネルギーだが、パネルの設置面積が限られる都市部の建物においては、より多くの発電量を確保するために、屋根や屋上面への設置に加え壁や窓などの側面を有効活用することが必須となる。しかし、建物の外壁へ設置するためには、サイズや色など建物に求められるデザインに対応できるフレキシブル性や軽量性、また、建物の長寿命化に伴う機器更新の容易さなどが必要となり、本格的な建物の外壁対応型太陽光発電パネルは今まで実用化されていなかった。
両社は、これらの課題を解決するために、「有機薄膜太陽電池外壁ユニット」を開発。今後、大成建設が技術センター(横浜市戸塚区)内に建設中の「ZEB実証棟」へ導入し、実用化に向けた実証を進めていく。