経済産業省は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度における、平成26年度の新規参入者向け買取価格、平成26年度の賦課金を決定した。また、回避可能費用、および設備認定の失効に関する条件に関しても制度の変更内容を決定した。
■買取価格、賦課金について
「非住宅用太陽光(10kW以上)」の買取価格(税抜)は前年度4円下げの32円/kWh、買取期間は前年度と同じく20年間。「住宅用太陽光(10kW未満)」の買取価格は前年度1円下げの37円/kWh、買取期間は前年度と同じ10年間となった。
また、来年度からは買取区分に「洋上風力」と「既設導水路活用中小水力」が新設され、「洋上風力」の買取価格(税抜)は36円/kWh、買取期間は20年間。「既設導水路活用中小水力」の買取価格(税抜)は下記の通り。
200kW未満 | 200kW以上1,000kW未満 | 1,000kW以上30,000kW未満 | ||
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買取価格(税抜) | 既存導水路活用 | 25円/kWh | 21円/kWh | 14円/kWh |
新設 | 34円/kWh | 29円/kWh | 24円/kWh | |
買取期間 | 20年間 |
なお、「その他の再生可能エネルギー」については、買取価格及び買取期間ともに据え置きとなった。
これらの買取価格等を踏まえて算定した結果、平成26年度の賦課金単価は1kWh当たり0.75円と決定。これは、標準家庭(月の電力使用量が300kWh)で月額225円となる。適用期間は、平成26年5月検針分から平成27年4月検針分。
■制度変更に関して
また、同省は、買取制度運用ワーキンググループにおいて、買取制度における「回避可能費用の算定方法」と「認定制度のあり方」について変更を行い、今年4月1日以降の認定案件から、新たな認定の運用方針を適用することとした。概要は以下の通り。
(1)回避可能費用の算定方法
回避可能費用(電力会社が再生可能エネルギー電気の調達をしなかった場合に、通常の発電・電力調達に要することとなる費用)は、これまで再生可能エネルギー電気の買取りにより減少する費用として、「全電源の可変費」の平均を用いて算定してきたが、下記のように変更される。
- 2012年度以降、太陽光及び風力の供給力評価が始まり、再生可能エネルギー電気の買取りにも設備投資を抑制する効果が認められるようになったことから、この供給力として計上される「固定費」の削減への寄与分を新たに計上すること
- 固定費の削減に寄与しない買取り分については、その買取りによって焚き減らされるのは主に火力発電であると考え、「火力発電の可変費」の平均を用いて算定すること
(2)認定制度のあり方
経産省では、「認定を受けながら理由なく着工に至らない案件がある」との指摘を受けて、平成24年度中に認定を受けた運転開始前の太陽光発電設備(400kW以上)に対し法に基づく報告徴収を実施したところ、認定後1年弱の期間を経てもなお土地も設備も確保されておらず、買取価格を維持することが妥当とは思われない案件の存在が明らかとなった。
このため、今後の新たな認定案件に対し、認定後6か月を経てもなお土地及び設備の確保が確認できないものについては、認定を失効させることとし、あわせて、認定が失効した案件については、電力会社との関係で保持している系統連系枠についても解除されるよう実務を整理すべきとの結論が得られた。なお、同時に、意図的な低圧分割を禁止するとともに、土地の共有も含めた地権者による同意の確認についても厳正化すべきとの結論が得られた。