埼玉県美里町で、20日、耕作放棄地において、メガソーラーを活用して発電を行いながら同時に農業も行うソーラーシェアリング(営農型太陽光発電設備)の事業がスタートした。同県では初めての取り組みとなる。
上田清司埼玉県知事は、本事業について「営農し、なおかつ太陽光発電パネルを活用して売電を行う、さらには耕作放棄地の解消にもつながるという、一石三鳥のアイデア」と話している。
今回設置した営農型太陽光発電設備では、1,500平方メートルの太陽光発電パネルで、約144kWの発電が開始された。将来的には美里町内の約20haの土地の上に、一基500平方メートルのパネルを約400基設置して、約19MWの発電をする予定。このメガソーラーの年間予測発電量は、約5,700世帯の消費電力に当たり、美里町(4,079世帯)内全ての世帯の消費電力を賄って、なお余りある発電ができる計画となっている。
太陽光パネルの下の農地では、少ない日射量でも育つ榊(さかき)の栽培が始まった。榊は神社などに奉納する紙垂(しで)に使われている。
このメガソーラーの計画は一般社団法人メガソーラー機構と美里町、そして農家のコラボレーションで実現した。上田知事は、「こうした取り組みが様々な形で広がっていけば、まさに本県が進める『エコタウンプロジェクト』が目指すエネルギーの地産地消を農業をしながら実現できる。耕作放棄地を再生しながら、なおかつエネルギーをつくるというやり方は今後注目されると思う。大いに歓迎したい」と語っている。
ソーラーシェアリングは、農地に支柱を立て太陽光パネルを設置、太陽光パネルで発電し、下の農地で農業を行うというシステム。昨年3月、農林水産省が農地への太陽光パネルの設置を認める場合の許可条件を明確化したことにより、実質、農業と発電事業の両立が可能となった。