和歌山県、ダイオキシン汚染地で太陽光発電 負の遺産が防災拠点に

地域住民の懸案事項となっていたダイオキシンに汚染された土地が、太陽光発電所として生まれ変わる。和歌山県は、2日、ダイオキシン類汚染の無害化処理対策を講じた産業廃棄物処分場跡地(橋本市)において、建設が進められていた国際航業の太陽光発電所「和歌山・橋本ソーラーウェイ」が完成し、5月12日に竣工式を行うと発表した。

本発電所の出力は714kWで、年間発電量は一般家庭の約200世帯分、CO2削減量は年間428tを見込む。

この処分場跡地では、約20年前、産廃業者が焼却炉を使わず野焼き等により不法に廃棄物を処理していたため、土壌がダイオキシンにより汚染されてしまった。地元住民の陳情などにより、結局、和歌山県が汚染された土壌をコンクリートで封入するなどの対策を講じた。

しかし、この土地を掘り起こすことはできないため、工場や学校などの構造物を建設するのは難しかった。広場としての利用も考えたが、マイナスのイメージが大きく実現しなかった。専門家や地元住民との話し合いにより、自然エネルギーに対する期待が高まる中、豊富な日照時間が期待できる同県の特性を活かして、処分場跡地に太陽光発電所を誘致しようという方向性が示された。

そこで、同県は、昨年、太陽光発電所設置事業者を募集。事業者として、国内外でメガソーラーの開発に注力する日本アジアグループ傘下の国際航業が選定され太陽光発電所の開発を行った。今回の設置工事では、コンクリートに打つ込む作業が不要で、地面に直接置くだけですむ基礎架台(置き基礎)が採用された。

県の担当者は今回の事業について「今回の事業では、マイナスのイメージを払拭するためでなく、プラスへとイメージアップを図ることができた。地域住民も喜んでいる」と話す。

国際航業は、「官民一体」といった要素が加わった今後のまちづくりを示唆する象徴的な事業として、環境学習の支援(見学施設・設備の設置、見学会実施)、非常用電源の提供、防災対策及びまちづくりの提案など、和歌山県の防災政策に貢献できる取り組みを行っていく。

環境ビジネスオンライン