エナリスは、新電力(PPS:特定規模電気事業者)を支援する新たなサービスを開始する。新サービスでは、需給管理システムのアプリケーションを無料で提供するほか、新電力事業を検討する事業者向けに「新電力ビジネス講座」を開設する。
同社は新電力向けに事業の立ち上げから運営業務を代行するサービスを手掛ける。長年蓄積してきた需給管理ノウハウをもとに、現在実稼働している新電力のうち、約半数の管理実績を有している。
新サービス概要は以下の通り。
(1)「新電力ビジネス講座」の開設
新電力の設立から運営方法まで学べる全15コマの講座を予定。事業計画立案、事業開始までの手続き、事業開始後の営業、需給管理や事業管理等のノウハウを提供する。
また、本講座(全5回プログラム)を9月19日(金)~10月24日(金)に実施する。受講料は1社2名まで100万円(税抜)。
(2)需給管理システム‐アプリケーションサービスの無料提供
新電力事業の継続上、重要となる需給管理については、これまで通り業務代行サービスを継続する一方、自社で需給管理を実施したい事業者向けには30分3%同時同量管理のための基本的な機能を有したアプリケーションサービスを無料で提供する。本アプリケーションでは、同時同量管理はもちろんのこと、需要家毎の需要予測、発電計画の策定から電力会社への提出、毎日の損益管理の機能なども含まれる。
今後、電力システム改革が進む中、様々な制度やルールが変更になることや、全面自由化後は需要家の電力選択の範囲が拡大し、多様な価値観に基づく意思決定が行われることが想定される。ルールの変更等では、その都度、需給管理システムの改修が必要となるが、本アプリケーションサービスは追加の費用負担なく利用することができる。
また、需要家ごとに異なる価値観(経済合理性、環境合理性、社会合理性)に基づく電力調達管理も本アプリケーションでは可能となる。最近では電力の地産地消や自産自消をテーマに取り組む需要家も増加しており、そうしたニーズにも応える。
また、同社では新電力間でインバランス(消費電力量と発電電力量との差分)を補完してコストを低減することができるバランシンググループサービスを提供している。このサービスは、中立的な立場として同社が代表契約者となって一般電気事業者の託送部門と契約を締結し、グループ内の新電力間で過不足が生じた場合に電力を融通し合うもの。
これに参加することで、さらなるインバランスコスト(電力会社に支払うペナルティ料金)発生リスクの低減を実現するとともに、希望する事業者向けには30分3%同時同量管理のリスクを同社が一部負担、あるいは保証するサービスも提供する。
同社によると、東日本大震災後のエネルギー問題に加え、電力小売りの全面自由化の流れを背景に、新電力の登録件数は増加の一途をたどり、平成26年9月8日時点での登録件数は347社となっている。しかし、その一方で実際に供給を開始している新電力の数は2割に満たず、実際の事業開始には一定のハードルがある状態となっていると指摘する。
こうした中、同社では新電力事業に関わるコンサルティング依頼や電力調達などの支援等、広範囲な事業支援の依頼が急増していることを背景に、今回、新電力向けに新たなサービスを開始することとした。
なお、新電力(PPS:特定規模電気事業者)は、一般電気事業者(電力会社)以外で、50kW以上の高圧電力を必要とする大口需要家に対し電気の小売供給を行う事業者をいう。